全長1mのロングフィルター
ユーザー これまで製作していた職人の高齢化によりフィルターの入手が今後難しくなるため、新しい供給先として弊社にお声掛けいただきました。全長およそ1mの長いフィルターは、古いタイプの圧延機に使用されます。
課題・解決策 このフィルターの仕様は、全長約1m、丸めたメッシュの内側にスプリング上のコイルが補強用に入っています。
弊社ではこれほど長い製品の溶接は初めてでした。
まず、第一の難関だったことは、まっすぐに製作することでした。実は、一つの圧延機にフィルターが何本も使用されるため、お互いに緩衝してしまってはいけませんでした。これは注文したメーカー様からの要望でした。
真っ直ぐなものを丸めて接合させれば、当然真っ直ぐになる、と考えるのは普通なのでしょうが、実際には真っ直ぐにはできませんでした。考えうる原因をいくつも考え、試行錯誤し、手を尽くした時に、材料に着目しました。すると、支給されていたメッシュがまっすぐではなかったのです。材料のカットを改善していただき、ようやくまっすぐなフィルターの筒が完成しました。
しかし、完成まであと一歩のところでまた新たな難関がありました。「この長い筒の中にどうやってほぼ同径のコイル状のスプリングを入れるか?」と、当時の担当者は考えたそうです。この製品には標準書はなく、どのように作ったかは、職人さんしか分からなかったのですが、その職人さんは既にリタイアされ、話を伺うこともできなかったそうです。そのため、サンプルとして渡されたフィルターからしか情報はありませんでした。サンプルをよく観察すると、内側に入っていたコイルには先端部分に”ツメ”のようなものがあることが分かりました。早速簡単な治具を作ったことで、楽にコイルを筒の中に入れることができ、これでようやく、量産の目途が立ったのでした。最初に試作依頼を受けてから、約1年近くが経っていました。